結論:事故車は「ディーラー下取り」より「事故車専門の買取」が高い
事故を起こした車を手放すとき、多くの方はディーラーにそのまま引き取ってもらいます。これが最も損をしやすい選択です。
理由は単純で、ディーラーは事故車を自社で売れないからです。結局は専門業者へ流すことになり、その中間マージンが査定額から引かれます。
中古車販売の実務で日々事故車を扱っている立場から、事故車がどう評価されるのか、そしてどこに売れば高くなるのかを解説します。
「事故車」と呼ばれる車には2種類ある
まず言葉を整理しておきましょう。ここを誤解していると、査定額の話がかみ合いません。
| 呼び方 | 意味 | 査定への影響 |
|---|---|---|
| 事故車(一般的な意味) | 事故に遭った車全般 | 損傷の程度による |
| 修復歴車(業界の定義) | 車の骨格部分を修理・交換した車 | 大きく下がる |
骨格部分とは、フレーム・ピラー・ルーフパネルなど、車の構造を支える部位です。バンパーやドアを交換しただけでは修復歴車になりません。
つまり「派手にぶつけたけれど骨格は無事」という車は、思ったより値段が落ちません。逆に「見た目は軽微でも骨格が歪んでいる」場合は大きく下がります。
自分の車がどちらなのかは、修理見積もりを見れば分かります。交換部品にフレーム・サイドメンバー・ピラーが入っていれば修復歴ありです。
事故車に値段がつく3つの理由
「動かないのに、なぜ買い取れるのか」とよく聞かれます。買い手側の回収ルートは3つあります。
① 部品として売れる
事故で壊れるのは車の一部です。エンジン、ミッション、ドア、ホイール、内装、電装品——無事な部品は中古パーツとして流通します。人気車種ほどパーツ需要が高く、その分が査定額に乗ってきます。実際、部品取り目的で値がつく車は少なくありません。
② 海外に輸出できる
日本では修復歴車の評価が厳しいですが、海外では走行できれば十分という市場があります。特にアジア・アフリカ向けの需要は根強く、国内では値段のつかない車が輸出されています。
③ 素材として売れる
最後は鉄・アルミ・銅などの資源です。触媒に含まれる貴金属も回収対象になります。この分は車種を問わず発生するため、どんな状態でも0円にはなりにくいというのが実情です。
仕組みの詳細は廃車に値段がつく理由にまとめています。
業者によって査定額が違う理由
同じ事故車でも、業者ごとに数万円の差がつきます。差が出るのは、その業者が3つのルートのどれを持っているかが違うからです。
- 解体・輸出ルートを自社で持つ専門店 — パーツも素材も輸出も自前で回収できるため高くなりやすい
- 引き取って他社へ流す業者 — 中間マージンの分だけ安くなる
- ディーラー・整備工場 — 本業ではないため外注。処分費を請求されることもある
ここが最大のポイントです。「事故車専門」を名乗る業者は、自社で回収ルートを持っているケースが多く、その分を査定額に乗せられます。
事故車買取業者を選ぶときの5つの基準
① 修復歴の有無で査定額の根拠を説明できるか
「事故車だから安い」で終わる業者は避けてください。骨格のどこが損傷していて、それが査定にいくら影響するのか——説明できる業者は、車を正しく評価しています。
② 自動車リサイクル法の引取業者登録があるか
解体を伴う場合は必須です。登録番号を公開しているかを確認してください。無登録の業者に渡すと、不法投棄などのトラブルで所有者としての責任を問われる可能性があります。
③ レッカー費用が本当に0円か
自走できない事故車は、積載車での引き取りとなるのが通常です。「無料」と書いてあっても、距離や地域で追加料金が出る業者があります。見積もり時に総額いくら受け取れるのかを確認してください。
④ 還付金の扱いが明記されているか
見落とされやすい部分です。廃車にすると自動車税の還付・自動車重量税の還付・自賠責保険の返戻金が発生します。車検が残っていれば、合計で数万円になることも珍しくありません。
ところが業者によっては、この還付金が「買取額に含まれる」契約になっているケースがあります。違法ではないものの、知らずに契約すると受け取れるはずのお金を失いかねません。査定時に必ず確認してください。
⑤ 複数社で比較したか
最も金額を左右します。事故車は「新車時の価格の何割」といった単純な計算が効かないため、業者ごとの評価差が特に大きく出ます。最低2〜3社で見積もりを取ってください。
修理するか、売るかで迷っている場合
査定に出す前に、そもそも修理して乗り続けるべきかを判断する必要があります。
判断の目安は修理費が車の時価を超えるかどうかです。時価10万円の車に30万円かけて修理しても、その30万円は資産として戻ってきません。
保険を使う場合も注意が必要です。車両保険で修理すると翌年からの等級が下がり、保険料が上がります。修理費と保険料の増額分を足すと、乗り換えたほうが安く済むこともあるのです。
詳しい判断基準は事故車は修理と買い替えどっち?で解説しています。
査定を依頼する前にやっておくこと
- [ ] 修理見積もりを取っておく(損傷範囲が明確になり、査定の説明を受けやすい)
- [ ] 車内・トランクの私物をすべて出す
- [ ] ETCカードを抜く
- [ ] 車検証・リサイクル券・自賠責保険証を用意する
- ] [ローンが残っていないか確認する(所有権解除が必要な場合があります)
- [ ] 保険会社に事故処理の状況を確認しておく
よくある質問
Q. 全損と言われた車でも買い取ってもらえますか?
A. 買い取れます。保険会社が言う「全損」は「修理費が時価を超えた」という意味であり、車に価値がないという意味ではありません。パーツと素材の価値は残っています。
Q. 自走できない事故車はどうやって運ぶのですか?
A. 買取業者が積載車で引き取ります。自分で運ぶ必要はありません。エンジンがかからない車の処分方法もあわせてご覧ください。
Q. 修復歴を隠して売ったらどうなりますか?
A. 申告しないと契約後に減額されたり、契約自体を解除されたりします。プロが見れば骨格の修理跡はすぐ分かるため、隠すメリットはありません。最初から伝えたほうが話が早く進みます。
Q. 事故で車検が切れてしまいました。
A. 問題ありません。積載車で引き取るため公道を走らせる必要がないためです。車検切れの車はどうする?で詳しく解説しています。
→ 車検が切れたまま売る場合の相場と運び方は、車検切れの車の買取相場は?公道を走らせず売る方法と業者の選び方 で詳しくまとめています。
Q. 相手のいる事故で、示談前でも売れますか?
A. 売却前に保険会社へ確認してください。車両が損害の証拠になるため、調査が終わるまで処分を待つよう求められる場合があります。
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※本記事は2026年8月時点の情報です。査定額・サービス内容は業者により異なります。契約前に必ず条件をご確認ください。

